したいことは、生きること。

したいことは、生きること。

ある日、悪性リンパ種を患いました。長期入院や移植などなどありましたが、まわりの人に支えられ私は元気に生きています。

半額のサバとおばあちゃんの心理

我が家の買い物担当は基本的に私だ。

今日もスーパーに行ってきたのでそこでのあった出来事を。

 

おそらく誰もが知っていると思うが、スーパーでは期限が迫った商品を安く売ったりする。その基準はスーパーによって違うが、半額や○○円引きのシールが貼られるのは主に夕方くらいだろうか。

 

 

私は基本的にめんどくさがり屋なので行動は早くない。

なのでスーパーに買い物に行くにもズルズルと遅くなり、結果的に夕方頃に行くことが多いのだが、この時間が割引シールが貼られる時間と同じくらいなのだ。

 

結果、割安で買えるので行動が遅かった自分に対してのネガティブな感情は消え、むしろ安く買い物をこなしたことでポジティブな自分になったりするから、行動スピードが上がることはこの先も見込みがないかもしれない。

 

とまぁ、そんなスーパーとの付き合い方をしている私だが、今日はいつもと少し変わったことがあった。

鮮魚コーナーでのこと。

私がそこに行った時には既に2人がいて、ひとりは割引シールを貼る店員さん。

もうひとりはその店員の横で張り付いて立っている初老のおばあちゃん。

 

その光景自体は特に珍しいことでもないだろう。

自分がカゴに入れた商品も安くなるなら割引シールを貼ってもらおうとするケースも少なくないし、陳列されている商品に割引シールが貼られるのをただ待っている場合もある。

 

でも、いざ近づいてみると様子が違っていた。

おばあちゃんのカゴには何も入ってないし、おばあちゃんの目の前の商品には既に半額シールが貼られている。

 

私はおばあちゃんの目の前にある半額のサバが欲しかったのだが、まったく動く気配がないので横から手を伸ばして取ることにした。

 

「あっ」

 

反射的におばあちゃんから漏れる声。

え?なになに?私なんか悪いことしましたか?

 

ちなみに半額のサバはおばあちゃんの前にもう1パックある状態。

おばあちゃんはそれを手にして、ささやくような声で私に問いかけてきた。

 

「千葉の魚だけど大丈夫?」

 

私は即「はい。」と答えたが、このおばあちゃんは何が言いたかったんだろう。

その後、そのおばあちゃんはもう1パックの半額のサバを取ってカゴに入れていた。

 

果たしてその発言の裏にあるおばあちゃんの心理とは?

私なりに考えられるケースは3通り。

 

まず1つ目は、言葉通り千葉の魚に若干の戸惑いがあって悩んでいた。

私は千葉の魚に戸惑いはないが、人によってはあるのかもしれない。

この場合、おばあちゃんは私が同じ千葉の魚を買ったことで少し安心して、自分も買うことを決めたと考えられる。

 

次に2つ目は、半額のサバがさらに値引きされるのを期待して待っていた。

これも考えられなくはないが、消費期限が明日だったし、そこのスーパーでは半額以上の割引シールはないので可能性は低い。

 

最後に3つ目は、2パックある半額のサバを目の前にどっちを買うか悩んでいた。

もしこれが正しければ、私が1つを取ったことによりおばあちゃんは選択肢を失ったことになる。

 

答えは本人に聞かないとわからないが、私の結論としてはおそらく3番目。

ただどっちにしようか悩んでいたんじゃないのかな。

でも手に取っていたわけでもないし、視線がサバに向いていたわけでもない。

だから私は取ったんだけど。

 

自分に隙があったことを悔いたおばあちゃんは、とっさに千葉の魚でも大丈夫かと私に問いかけ、私が躊躇して棚に戻すのを狙っていたに違いない。

さすが人生経験豊富なだけあって、考えさせられる問いをしてきたものだ。

 

ただし、残念ながら私には通じなかった。

なぜなら私の判断基準は国産かどうか、安いかどうかの2点だけだったから。

 

結局はシンプルに判断することでブレないと感じた出来事でした。